
いがらしみきお「たいへんもいじーちゃん」(角川書店)
僕は石川県金沢市出身なのですが、ここには「
いじっかしい」という言葉があります。これは何かが自分の言うとおりにならなくてしつこい、みたいなニュアンスなのですが、例えば剥がそうと思ったシールが中途半端にとれて残りの白いカスがなかなか取れない時とか。
また、僕の家だけなのですが、「
感触いい」という言葉があります。これは、もちろん手触りがいい感じ、という意味はもちろんなんですが、何かがバッチリうまくいって気持いい、というニュアンスがあります。
「ぼのぼの」の作者によるこの子供マンガは、そういった「感触いい」ことを求めるんだけど「いじっかしい」になってしまって主人公のもいじーちゃんが困る、というシチュエーションが多いのです。はっきり言ってこのもいじーちゃん、決して「ア〜ン」ではありません。でもかわいらしい。本当に日常の細かなところを見てるなぁと思います。
ちなみにモスバーガーのフリーペーパー
(←これは良く出来ていた)「モスモス」の連載に大幅加筆をしたものだそうです。
(2001/02/12)
「ギャグマンガ」にもいろいろありますが、個人的に好きな傾向が「メタ的」なやつ。簡単に言うと“マンガ独自の表現
(お約束)をギャグにする”というもの。って全然簡単じゃないですか?例を挙げると、セリフの吹き出しの後ろに隠れちゃうとかそういう表現。よくこういうマンガは「実験マンガ」とよばれるようですが、そんな堅苦しいものではないと思います。さて、古くは手塚治虫や赤塚不二夫からその手の表現は行われてきましたが、最近のギャグマンガではどちらかというと少なくなっているように思います。そんな中でこのジャンルを引っ張ってきたのが「とり・みき」だと思います。
とり・みきはマジメな
(?)マンガも書くんだけど、やはり実験マンガこそ彼の才能が発揮される場所なんではないでしょうか。上にあげた「遠くへいきたい」は今でもTVブロスで連載している9コママンガなんですが、タイトル通り「遠くへい」ける。距離的にではなくて、独特のトリップ感というのでしょうか頭クラクラ感覚が感じられます
(ちなみに河出からも出てます。そっちを買った方がいいかも、というか上のは絶版かもしれない)。
お次はとり・みきの友人でもある唐沢なをき。この「カスミ伝S」
(アスキー)は徹底的に実験にこだわっていて、その無茶さが時に破綻するところも笑えます。「怪奇版画男」
(小学館)も必読。
最後はおおひなたごうの「おやつ」
(なぜかチャンピオンコミックス)。この作品もすごい。上の二者と少し違って「マサルさん」的テイスト
(あんまり知らないけど)も入っているところに注目。藤子不二雄
(FもAも)へのリスペクトも感じられます
(パロってるだけか)。あと、戦隊ものやTVドラマなどへのこだわりも感じられます。TVブロス連載の「俺に血まなこ」も爆笑。この3作品に共通なのが絵のかわいさです。やってることは結構過激というか「既成概念を壊す」という意味ではパンキッシュな行為なんだけど、かわいい絵のオブラートで包んであるから飲みやすい。これがポップということなんではないだろうか?アンディ・ウォーホールの「ポップ」というのもそういうことなんでは、と思う。
(1999/02/26)