

「岡本太郎 EXPO’70 太陽の塔からのメッセージ」(図録)
当時、いわゆる「反体制」の人々は、万博に反対するのを「ハンパク」と呼んでいい気になっていたそうな。岡本太郎も万博自体には疑問を持っていたらしいのですが、「自分が内部から壊す!」みたいなことを考えて何度か断った後にプロデューサーになることを了承したそうです。それでも、進歩なんて言葉は大嫌いだ・調和というのは人と人とがぶつかることだ、などと主張していたとか。
その後、開発予定地を見てかの有名な「太陽の塔」の構想が出来たそうですが、当時あんな訳の分からないモノを建てると言い出した岡本太郎のことを周囲がどう思ったか考えるだけでも楽しい。おそらくそこまでの万博のコンセプトには、ああいうものが出来る余地はなかったと思います。しかし、岡本太郎の頭の中では「これしかない」と確信があったのでしょう。
あの塔が万博全体を引っ張り上げたに違いありません。もしあれがなかったら、単なる企業・各国のデモンストレーションで終わっていたのでは、とすら思います。あの塔があったからこそ、参加者が「あ、ここまでやっていいんだ」「そうか、これは祭りなんだ」と気付いたのだと思います。
今でも「大阪万博=太陽の塔」というイメージがあるのですから、当時の総責任者だかが「これがあれば万博は成功する」と確信したのは間違いではなかったようです。
僕もちょうど一年前に大阪へ出向いて「太陽の塔」を見てきましたが、とにかくデカい。圧倒的な存在感があります。当時子供達はウルトラマンの怪獣にその姿をダブらせたらしいですが、それもムリはない。
あの塔の何がすごいって、その存在感を表現するためだけに作られたところです。そもそも岡本太郎の作品ってかなり気持ち悪くて、その気持ち悪さというのも目を背けたくなるようなグロさではなく、なんかギョッとしてしまう、そういうところがあります。その「ギョッ」っていうのを彼はずっと大切にしていたのだと思います。芸術とはキレイであってはならない、と主張していましたから。
さて、そんなEXPO’70ですが、近年なぜか再評価されはじめいろんな本が出版されています。
グルービジョンズが装幀を手がけた洒落た作りの本です。パビリオンの紹介、イベント、グッズなど基本的な万博の「建前」はこれを読めばオッケー。電子音楽がフィーチャーされてたことやみうらじゅんなど当時の万博少年のコラムなどもあってなかなか読ませます。
こちらは、「EXPO70伝説」とは対極に位置する作りの本ですが、当時の雰囲気を知るには格好の本ではないでしょうか。子供の目には前衛芸術も退屈なだけだったり、外人がとにかく珍しかったりとか、読んでいると当時の「本音」が分かります。「EXPO70伝説」と必ずセットで読むべき本。「万博」をオシャレなアイテムとして消費することがばかばかしくなるでしょう。

「都築響一/Instant FUTURE」(ASPECT)
さて、ここからは万博ではなく岡本太郎の本を紹介します。
以前も紹介しましたが、基本中の基本。「芸術は爆発だ」という言葉を聞いて吹き出してしまう人は必読。赤瀬川原平の解説もうれしい、価値ある一冊です。
岡本太郎は文筆家としても何冊か著作を残していますが、僕はああいうキャラクターだから文章も観念的で訳分からないのかと思いきや、分かりやすくて考えも非常にまとまっていてビックリしました。これは人生論みたいなことが書いてあるのですが、彼の自伝としても楽しめます。
これは敏子氏による岡本太郎の語録。「ゴクミ語録」「中田語録」よりも面白い、と思う(笑)。とにかくエネルギーのカタマリとはこの人のことだな、と思わせられます。
(2000/11/12)




