ヤンキー

うちのサイトとヤンキーの関係は意外とあって(ウソ)、音楽ネタの「プカドン交響楽団」でもツッパリ特集ってのをやって平均アクセス数は不本意なことにかなり高いんですけど、しょうこりもなく今度は本の世界でヤンキー特集をしてみました。といっても、音楽系ヤンキーの本ばっかりではありますが。
ちなみに永ちゃんはヤンキーじゃないので、こっちにはいれてないのでヨロシク「自伝」特集にあります)
チェッカーズのコーラス(ヒゲの人)、高杢禎彦のガン闘病記&半生伝。
よく、ワンマンバンドにいて曲も作らないバックメンバーはバンドが解散したらどうなるんだろう?と思うけど、この本はその疑問に答えてくれる。

やはり読みどころは後半のチェッカーズの結成から解散までのエピソード。高杢は藤井兄弟と幼なじみ。彼自身中学では番長的存在で、何度も補導されている。高校で更正するところも含めていわゆる「ツッパリ自叙伝」なんだけど、彼の場合幼なじみにフミヤがいたことで、その後の人生が他の元ツッパリたちと大きく異なる。

その頃、他の高校へ行ったフミヤはアマチュアバンドで大成功していたのだが、そのバンドが解散するタイミングで他のバンドにいた武内享と新バンドを結成。タカモクとフミヤの弟・尚之は無理矢理仲間に入れてもらう。フミヤが鶴久政治を連れてきて、ベースに大土井裕二・ドラムにクロベエを他のバンドから引っ張り、結成時のメンバーが固まる。なんとなく全員幼なじみかと思っていたけど、全然そんなことはなかった。

バンド自体はコンテストなどで優勝し、晴れて上京するんだけど、いかんせんオリジナル曲がない。そこへ現れたのがタカモクが師匠と呼ぶ作曲家・芹澤廣明
今だと「芹澤廣明?誰それ?」って感じかもしれないけど、この当時はヒット曲を連発する凄腕の作曲家だった(ちょい曲調がワンパターンだったけど)。チェッカーズの代表曲はほとんどこの人のペンによるものだ。
この本を読むと、芹澤廣明はチェッカーズに曲を提供してただけでなく、今でいう「プロデューサー」的な位置にいた人であることが分かる。歌唱・楽器の指導を行い、たまにはメシも食べさせる。よくチェッカーズの仕掛人として秋山道男が出てくるけど(この本でもちょこっと出てくる)、やはり音楽的には芹澤廣明が仕掛人だろう。

彼の名プロデュースもあってヒット曲を連発し金もたんまり入ってくるわけだけど、ありがちなことに音楽的自立と印税が理由で芹澤廣明の元から離れる。タカモク自身はあまり“音楽的自我”がない人だから、彼から見ると「印税めあてで師匠を裏切った」と写るわけだけど、他のメンバー(特にフミヤ)から見るとここは異論があるかもしれない。当時、小学校高学年の僕の目にも「チェッカーズ=自分で曲を作らないアイドル」というイメージがあったし、そこから脱却しないと次の展開はなかったというのも正しいと思う。ただし、「芹澤廣明に挨拶もなしに」というのはタカモクの言うとおり礼儀を欠いたのかもしれない。

ここでタカモクとフミヤの間に確執が生まれるわけだが、決定的なのがフミヤが解散を持ち出したこと。タカモクにしてみれば「なんでフミヤが解散と言う→バンドは解散」になるのかという思いはあっただろうけど、客観的にはそれは紛れもない事実。否応もなく解散に向かうわけだけど、その後幼なじみでありながら絶交状態になってるのが、とても寒い。バンドの解散劇を生々しく読めるというだけでもこの本は面白い。
氣志團のリーダーにしてブレーンの綾小路翔へのロングインタビュー。
爆笑しながら読んだ。けっこう話を作ってるところもあると思うけど、自意識過剰な部分とそれをものすごく客観的に操作できる部分がうまいバランスを保ってる人だなぁという印象。編集的センスも鋭い。
けっこうナゴムあたりのパンクにはまった人で、横浜銀蝿とかには全然興味ないというのが意外というかなるほどというか。そもそも音楽自体にもそんなにこだわりなさそう。
この人にとっての「ヤンキー文化」ってのは僕にとっての「渋谷系コジャレ文化」みたいなもんなんだろうなーとか思った。
氣志團の方法論にちょっとでもピンと来た人は読むことをお薦め。
紺待人「大きなビートの木の下で」(ソニーマガジンズ文庫)
紺待人「大きなビートの木の下で」(ソニーマガジンズ文庫)
ATOK14で「ボーイ」と打つと「BOφWY」って出る。ATOKにも認められた知名度(笑)。でも実際僕の世代(1973年生まれ)だとBOφWYってのはホントに大きな存在だったと思う。と書いておいて、自分はほとんど思い入れがなかったんだけど、それというのも彼らが微妙にヤンキー臭さを放ってたからに違いない。
ゆえにBOφWYがどのような経緯で結成され、メンバー間の関係性はどうだったのか、などということは彼らの音楽以上にどうでもいいことであったので、この本の存在は知っていたものの興味すらなかった。
ところが最近BOOKOFFの100円コーナーにこの本があって、ひょいと取りパラパラと読んでみたら、意外と面白そうじゃないか。氷室が本物のヤンキーだったらしい、布袋は案外坊ちゃん育ちらしい……。こりゃ読まなきゃなるまい、と購入を決意(100円だけど)

読んでみて、やはりあのヤンキー臭は伊達じゃなくて、やっぱり氷室はヤンキーだったことが分かった。だけど、美意識が違った。彼の美意識は暴走族方面じゃなくてなぜかニューロマ的な方向に向いてたようで、ヤンキー的なファッションをよしとしなかったんでしょう。その辺でニューウェーブ好きの布袋との接点があったような気がする(憶測ですけど)
ある意味、あらすじはチェッカーズと同じで、高崎でブイブイ言わせてた複数のバンドが合流を繰り返し、コンテストで優勝、上京。チェッカーズと違いかなりの間冷や飯を食わされてたようだけど。この本では、今からブレイク!っていう“almost famous”までしか書かれてないけど、伝説にはここまででいいでしょう。
ちなみに、この本に刺激を受けてTSUTAYAでBOφWYのアルバムを借りまくってきたけど、意外と面白かった。「JUST A HERO」などでの佐久間正英のプロデュースが、布袋にどれぐらい影響を与えたのかは興味深いところ。
バンドものが好きな人なら、100円で見つければ買いの一冊。

(2003/10/06)