暗さの中に光るモノ
「Tears For Fears/Songs From The Big Chair」

  1. Shout
  2. The Working Hour
  3. Everybody Wants To Rule The World
  4. Mothers Talk
  5. I Believe
  6. Broken
  7. Head Over Heels / Broken - (live)
  8. Listen
[bonus track]
  1. TheBig Chair
  2. Empire Building
  3. The Marauders
  4. Broken Revisted
  5. The Conflict
  6. Mothers Talk - (US remix)
  7. Shout - (US remix)
 
いつも書いているように、僕は「暗い」ものがまったくダメなのだ。ダーク、ゴス、耽美、アニメのエンディングソングetc.そういったもの。じゃないと「ポップ」なんて言葉をWEBのタイトルにつけないだろうけど。

僕はずっと、世の中の大多数の人はそういった「暗い」ものが嫌いなんだと思ってたら、意外や意外、それをいい、かっこいいと支持する人が多くて驚いた。特に僕が通っていた文学部なんてところは結構そういう趣味の方々が多かった。

そこで、考えるのが「なぜ僕は暗いのが嫌いなんだろう?」という疑問。とはいっても僕だって高校ぐらいの頃はけっこう暗かった。周りの人から見れば「はぁ、あんたが暗い?」って感じだったと思うけど、つまんないことでグジグジと悩みがちだったのだ。誰にでもあることだとは思うんだけど。

そういった青さと同居するたぐいの「暗さ」ってのは決して嫌いじゃない。

僕が嫌いなのは、人がいやがるから、眉をひそめるから、あえて「暗さ」を身にまとってしまえ、といったベクトル。そういう考えを持ちがちな、ある年齢の少し自意識過剰な女の子がゴス趣味に走ったりするのは分からなくもない。だけど、嫌いだ。

ここでようやくティアーズ・フォー・フィアーズなんだけど、彼らは暗い。ファーストアルバムのジャケがもう暗い。子供が絶望しているジャケなんてどう?だいたい「Tears For Fears」という名前からして、まっ暗だ。

でも、僕はこのアルバムが好きだ。

これについては自分でも不思議だったからいろいろと考えてみたんだけど、同じ暗さでもそこにいる人が「」の方へ向いているか、より深い「闇」の方へ向いているかで違うんじゃないか、と思う。つまりは最終的にその人が何を望んでいるか、だ。
このアルバムにはそういうわずかながらの「光」がきらめいている。そしてそのきらめきがとても印象的なのだ。
短いイントロがまさに渇いた叫びを思わせる1曲目「Shout」から、静的なアンビエンスにドラムの印象的な一打で幕を閉じるラストの「LISTEN」まで、その印象は変わらない。

それにしても3曲目「Everybody wants to rule the world」ってすごいタイトルだ。「Everybodyって僕も?え、僕も世界を支配したいと思ってるの?そうか、そうだったのか」と妙に納得してしまう。

Tears For Fearsを一番最初に聞いたのは次作「The Seeds of Love」なんだけど、今ではあまり聴くことはない。あのアルバムは、光を得たみずみずしさに溢れているけど、それが逆に彼らの魅力を薄くしてしまったのは、少々皮肉なことなのかもしれない。

……と書いたところで、この「Songs From The Big Chair」がリマスター再発されてたことに気づいた。しかももう2年も前に!あわてて購入したのは音質がよくなってるからだけではなく、輸入盤しか持ってなかったから訳詞が読みたかったのもある(読んでもよく分からなかったけど)。ちなみに7曲もあるボーナストラックはむしろいらなかった。
だけど一番驚いたのが、ライナーではこのアルバムが「明るい世界観がうちだされている」と書かれていること。
えー。

(2003/07/21)