本当の意味での「解放」
「Johnny,Louis&Char/FREE SPIRIT」

「Johnny,Louis&Char/FREE SPIRIT」
「Johnny,Louis&Char/FREE SPIRIT」
  1. introduction
  2. Wasted
  3. 風に吹かれてみませんか
  4. Open Your Eyes
  5. 籠の鳥
  6. Natural Vibration
  7. You're Like a Doll Baby
  8. Shinin' You,Shinin' Day
昨年から今年にかけて偶然なのか何なのか、ライブ嫌いなはずの自分がいくつかのステージへ足を運んだ。ジョアン・ジルベルト、杉山清貴&オメガトライブ、クラフトワーク……。もっともいづれも初来日、一度だけの再結成、久々の来日……などワケありではあったんだけど、実際に目の当たりにすると、こうやって音楽を楽しむのも悪くないなぁと今さらながら思ったりもした。

さて、今後自分がライブに足を運ぶとしたらどのミュージシャンなんだろう?と自問自答してみたら、真っ先にスティーリーダンとCharの名前が思い浮かんだ。どちらも行こうと思えばチャンスがあるわけなんだけど、今回は後者のCharのライブアルバムを取り上げてみたい。

今は基本的にはソロのCharだけど、このアルバムはおそらく自身が初めてイニシアティブをとったであろうバンド「Johnny,Louis&Char」(のちピンククラウドに改名)としての作品である。Johnnyはドラム・ジョニー吉長、Louisはルイズルイス加部。Charはゴダイゴをバックにツアーをまわったりしていたわけだけど、ミッキー吉野に自分のバンドを持つべきとのアドバイスを受け(まぁ、芸能界をいったん辞めるなどいろいろあって)、このバンドでミュージシャンとして復活をしたそうな。その'79年7月14日日比谷野外音楽堂での無料ライブの模様を収めたのがこのアルバム。

そういったいきさつはファンサイトなどでいくらでも読めるだろうからこれぐらいにして、僕がCharのアルバムを1枚挙げろ、といわれたらおそらくこれではなく、1stアルバム「Char」の方を選んでしまうと思う。あのアルバムこそ、紙ジャケ・リマスター盤が出たため買い直してしまった文字通りの「カジバレコード」だ。だけど、この「FREE SPIRIT」はその次ぐらいに好きな作品で(購入した直後に紙ジャケ・リマスター盤が出たのがメチャクチャくやしかった。いまだにそちらは手に入れてない)、ライブ盤がそんなに好きじゃない自分としては非常に珍しい。実際のステージでは演奏されたという「SMOKY」が入っていたら甲乙つけがたかったかも、と思う(どこかで読んだ話だと、「SMOKY」の時は観客が興奮しすぎてまともに演奏できてないとか)

このアルバムの魅力はやはり選曲のよさにあると思う。ライブ盤だけど8曲(実質7曲)とコンパクトにまとまっていて、1枚通しで聴いた時に非常に風通しがいいというか、しつこくない。実際のステージでの曲順は知らないけど、「3.風に吹かれてみませんか」、「5.籠の鳥」などスローな曲もまさにここ!という場所におかれているし、6、7、8という盛り上がりは何度聞いても「あぁ、このステージを見たかった」と思わせられる。実質初ステージとなるバンドなのに、絶妙なアンサンブルを聴かせてくれるのもたまらない。

だけど、僕が一番このアルバムで好きなのは「3.風に吹かれてみませんか」の
「降りる人が降りてから乗ったらどうでしょう 誰もあんたを殺しゃしないから」(1:07あたり)
で入る、ハウリングの「キーン」という音なのだ。

これは奇をてらって書いてるのではなくて、このハウリングが歌詞の内容とマッチしていて、すごくしみるのだ。まさに絶妙なタイミングで入るから、意図的なのか?とも思ってしまうけど、Charが「ハウるぐらいいいじゃん、たまには」と言ってるみたいだし、シチュエーション的に鬼気迫る演奏!とかになってしまいそうなライブで、記録的にもエラーといえる部分をそのまま演奏として商品に入れてしまう姿勢も含めて絶妙に肩の力が抜けている感じを受ける。そして、それこそが「FREE SPIRIT」だなぁ、と思わせられるのだ。

Charのギタープレイはいつもエッジが立っていながらそういった余裕が感じられ、僕は彼のそういうところが人間性も含め好きなんだと思う。

(2004/04/18)