- THEME FROM TAKE-OFF(MAGIC SUNSET)
- THE NEW WORLD BREAK
- CRIPPER'S DISCOTIQUE BREAK
- SUN SONG '70
- RHODES FUNKY DUB
- 747 DUB
- SWING THE CRIPPER
- THEME FROM LANDING(LIFE FOR LIVING)
でも思い起こせば1973年生まれの僕が二十歳の頃バイトしてた店で、「あさま山荘事件は生まれる前だ」と言ったら店の人が驚いていたから、僕が歳を取っただけなのだろう。ちなみに僕が西暦を初めて意識したのは「ポートピア'81」の1981年だった。
そこで思うのは、じゃあ僕は70年代の雰囲気を覚えているのか?ということ。正直、小さい頃の記憶はほとんどないので覚えていることはあまりないんだけど、70年代の雰囲気というのは80年初頭にもまだ残っていただろうから間接的には感じていたのだと思う。パッと思い浮かぶのはなぜか「アメリカ横断ウルトラクイズ」なんだけど、「アメリカ横断」「ウルトラ」「クイズ」ってどれもかなり70年代の意匠ではないか。あの変にゴージャスなテーマ曲やハデな衣装、海外旅行は行けなくて当たり前・よくて一生に一度のもの……、ってな時代。
そして同時に大相撲での「ヒョーショージョー」も思い出されるのだ。最近になってあれはPAN AM(パンアメリカン航空)日本支社長デビッド・ジョーンズであったことが分かるんだけど、PAN AMマークってのは僕は古くさいなぁと思ってしまう(一周まわってそう見えなくなってしまったけど)。
そういう「70年代の雰囲気」をアルバムというスタイルでパッケージングしたい、という欲望がこのCDを産んだんだと思う。PAN AMのノベルティという形を取っているけど、実はタイトル通りこれは「70年代」のノベルティグッズであり、サウンドトラックなんだと思う。
ジャケットはぜひこの既製の写真を使いたかった、という話だけど、なるほどこの色あせて少しボケ気味な独特なシズル感(使い方違う?)はザッツ70年代。
もちろんサウンドの方は90年代後半特有のクラブ通過後のエレクトリック・ラウンジなんだけど、おそらく音のテイストが何か70年代と共通するものがあったんじゃないのかな。
僕は特に70年代にこだわりがあるわけでない。それよりも、そういった時代をパッケージングしようとしているパノラマ的な行為と音に興味がある。
プロローグの1・エピローグの8という、本でいうカバー部分を作者不詳のイージーリスニングの完コピで挟み、あとはディスコのリズムを換骨奪胎した曲をはじめ、全体的にリラックスした空気が漂う。この停滞感もまたあの時代なのかもしれない。
実はこのアルバムは砂原作品の中で一番よく聴く作品なんだけど、前作である2nd「TAKE OFF AND LANDING」があまりに気合いが入りすぎていて聴くと猛烈に疲れるのと対称的に、いい意味で力が抜けているからだと思う。軽く聴けるからBGMにいい、というわけでなく、僕はこういった気合いの入った作品の後に出た力みのない作品、というのが好きで、たとえば前に紹介した「Sweet Robots Against The Machine」もそうだし(リリースこそ「Sound Museum」の前だったけど)、ヤン富田の「ASTRO AGE STEEL ORCHESTRA/HAPPY LIVING」、映像作品でいうと黒澤明の「用心棒」「椿三十郎」、宮崎駿の「紅の豚」、村上春樹のショートショートなど、あげていくとけっこうな数になる。
こういった作品たちは、作者のエゴよりも趣味性がやや勝ってしまったかな、という部分が共通していると思う。評論家的にはエゴが出ている作品の方が評価しやすいから賛否どちらでも歓迎するんだろうけど、趣味性に関しては評論という行為とはやや離れてしまうゆえ語る言葉が少なくなりがちな気がする。
でも僕は人の「趣味性」という部分には、かなりその人の正直な部分が出ているように感じて親しみがわく。
この「THE SOUND OF '70s」も小西さんがほめた砂原良徳独特のコード感やクラフトワーク直系の生真面目さが素直に出ていて、その素直さが聴き手に緊張を強いらなくていい。
(2005/5/2)
