- Holly Night
- COME ON
- On The Loose
- Only You Can Save My Song
- Single Girl
- ハートのパレード
- Good-bye Sad Memory
- My Sweet Angel
- Mercy Me
- TIME FLIES
自分の好きなアルバムが他の人にほとんど評価されてない時って、単に自分がノスタルジィで好きなだけなのか?とちょっと不安になったりする。
いくつかそういうアルバムはあるけど、同時代によく聴いたレコードに必ず思い入れがあるわけではないから、やはり自分にとっては名盤なんだろうと思う。
このアルバムはまさにそういう一枚。
「小比類巻」というと、いまでは格闘技の選手を思い出す人が多いだろうけども、今から20年ぐらい前は、この「小比類巻かほる」はけっこう有名な歌手だったんですよ>10代の方々(ってそんな年齢でここ読んでる人いないか)。
当時はシングル「Hold On Me」がヒットして、そうそう、アニメ「CITY HUNTER」の初代オープニングも彼女だったけど、タイトルを曲名に冠してないエンディング「GET WILD」の方がめちゃくちゃ有名になって、ちょい気の毒だった。
この4thアルバムは、その「Hold On Me」「CITY HUNTER〜愛よ消えないで〜」のあと、シングルをいくつかスマッシュヒットさせた後に満を持して発売された作品(シングルっていっても、短冊CDシングルどころか、ドーナツ盤だった頃なんだけど)。 実際、1987年末の紅白歌合戦に「Hold On Me」で出場、その翌年の1/21にこのアルバムが発売されて、まさに絶頂期だった。
それまであまりプロフィールとしてプッシュされていなかった彼女のソウル指向をやや押し出し、それにあわせたのかジャケットもシックになっている。
サウンド・プロデュースは元一風堂の、というより元美乃屋セントラルステイションの土屋昌巳が3rdから引き続き担当。作曲はこれまた引き続き大内義昭が大半を担当し、ニューウェーブっぽいファンクな6を土屋が、メロウな8、9を前作のタイトル曲「I'm Here」に続いて鈴木雅之が書き下ろしている。
作詞は全曲本人なんだけど、この詞がホントに今読んでもわかりにくい。かなり雰囲気もので、おそらく佐野元春に影響を受けたんじゃないかとおもうんだけど、正直文章としてはかなり意味不明である。
でも、彼女のプロフィールのひとつであった「三沢の米軍キャンプ」の空気感は確かに感じる。
正直いうと、この歌詞の分かりにくさと、本人のソウル指向とは明らかにそぐわない線の細い歌声が、その後の歌謡曲シーンに居場所を見つけにくかった原因なんじゃないかと思う。もし彼女がもう少し歌謡フィールドで歌うことをよしとしたなら、本人の意志はどうか知らないけどもっと活躍できたのではないか。
あ、それとこのアルバムの後に、おそらく憧れのプリンスにプロデュースしてもらうために、ソニーからTDKに移籍するんだけど、これがビジネス的には大失敗だったんじゃないか。明らかに露出が減ったし。
ちなみに結局プリンスにはアルバム全部をプロデュースしてもらうことはかなわず、5thアルバム「TIME THE MOTION」の「5.MIND BELLS」「6.BLISS」のみのプロデュースとなった上に、その肝心の2曲が凡作。余談だけど、この2曲のために海外のプリンスファンからは重要アイテムになっているとか。
このアルバム、アレンジはJun-ichi Kawaguchi(←誰?河内淳一と間違えそうな名前だ)とデヴィッド・キャンベル(ベックの親父)で、作詞・作曲は本人が手がけてるんだけど、これがイマイチなんだなぁ。今の時代はそんなことはないと思うんだけど、この当時はたとえシンガーであっても自作曲を歌っている方が格上、てな風潮があって、それに抗えず何人ものシンガーが失敗したと思う。
サウンド的には急にロック調になり、先行シングル「Dreamer」を聴いたときから「なんか違うこれ……」という思いはあって、実際にアルバムを買ったときにかなりガッカリだったことを覚えている。高校生の頃のアルバム1枚の値段って大金だったからなぁ。
さて、ちょっとネガティブなことを書いてしまったけど、話を「Hearts On Parade」に戻すと、こちらはホントに名曲揃い。
「1.HOLLY NIGHT」はタイトルはクリスマスっぽいけど、歌詞からはあまりそれを感じられずどうなんだろうと思うけど、「遠い街目覚めればセキュリティの口笛」というフレーズが、冬の夜の澄んだ空気を思い出させてよい。
「4.ONLY YOU CAN SAVE MY SONG」はファンへのアンサーソング。
「5.SINGLE GIRL」は3rdアルバムの延長線上のような曲で4thの中ではやや異色かも。さわやかだけど芯の強さを感じさせる。
「6.ハートのパレード」は唯一土屋昌巳の曲で、これがファンキーでかっこいい!
「10.TIME FLIES」はおそらく彼女自身も気に入っている曲で、僕も名曲だと思う。「くるぶしにmy dream 腕時計はめながら 君が今 後ろ向きに走った」という最初のフレーズ、全く意味はわかないけど、なんだかいい。
シングルを2枚収録しているにも関わらず、全体の流れがとてもスムーズで、楽曲にも統一感がある。
余談だけど、このアルバムに続くシングル「TOGETHER」「TONIGHT」もほぼ同スタッフによって作られているけど、それぞれのカップリングだった「Cotton House」「Shiny Rain」も隠れた名曲。どちらもベスト盤の「SO REAL」に収録されている。
今聞き直しても、土屋昌巳のアレンジはリズムもイカすし、しゃれてるなぁ。「TIME THE MOTION」と比べると、それが一段と際だつ。小比類巻かほるの歌唱とは相性がよかったんだと思う。
返す返すもその後の彼女の活動規模の縮小は残念に思う。
ちなみに、ホントに偶然なんだけど、ちょうど6年前に小比類巻かほるについて書いたテキストをアップしているので、よかったらそちらもどうぞ。けっこうおんなじこと書いてるや(笑)。
(2007/2/12)
